マボロシの東京散策2002 #05

第5話 やっと着いた

東京到着である。良かった。晴れていた。

実は、飛行機から降りる直前にタカサカの前方に座る御婦人の視線が気になっていた。
さて、思い出せない。根っからの忘れんぼうで薄情な人間であるため、タカサカは人の顔と名前をよく忘れてしまうのだ。
しょうがないので、ウスラ笑いをしてあいまいにうなずいたりしてみた。
さあ、誰だろう?

ハテナハテナを繰り返し、思い出したのは東京モノレールに乗ってからであった。
アンマの先生の奥さんだったのだ。
先生のマッサージの後には奥さんの薬の塗り混みがあり、タカサカのヤワハダがお世話になっていたというのにコレである。恩知らずにもハナハダしい。反省。
(注 タカサカは按摩だの針だのと歳に似合わず老人臭いところの常連である)

一応、迷うこともなく浜松町で山手線に乗り換え、新宿へ。
ホテルは新宿ワシントンホテルを用意してもらった。選んだのはタカサカだ。
別に、空いていて、都心であればドコでもよかったのだが、いろりろありすぎて、名鉄観光のいそがしいさなかでチョロチョロと選ぶのも気がひけてしまったのだ。
で、以前に利用したこともあったため、決定した。タカサカの独断であった。

イナカモノのタカサカには人込みはこたえる。東京は首都である。1200万人以上が生息する大都会である。いくら、正月で帰省しているとはいえ、イナカからの流入は多いことだろう。
と、いうことは、正月の東京はかなりイナカ率が高まっているのではないか?タカサカは新宿駅南口の人の流れに流されながら、ボンヤリそんなことを思った。

新宿タカシマヤの逆方向に我々が目指すホテルがある。
以前学習したおかげで、ここでも迷うことなくホテルへとたどりついた。

チェックインだ。
フロントでワシントンカードはお持ちですか?と聞かれた。W.A.Rが持っているという。
なにゆえ持っているのかわからないまま、W.A.Rのカードのおかげで、若干の手間が省けたようだ。
しかし、カードは期限切れ。更新料は500円であった。

カードキーを受け取り部屋へ向かった。

三人部屋である。
タカサカは少々不安であった。
香港での三人部屋では、タカサカのベットはあきらかに簡易ベットだったからだ。まさか、ここでもか?
(注 タカサカは何故か簡易ベットにこだわる奴だ。寝れりゃいいだろうに。あるときは、何処も空いている部屋がなくて相部屋しかなかったユースホステルもどきで最後までダダをこねた。別にいいだろう空いてないんだから、誰も君を襲いやしないよ)

不安は安堵に変わった。正真正銘の3人部屋だった。しかし、この部屋には恐るべき事実が隠されていた。3人はまだそのことには気付いていなかった。別にユーレイ話ではないが。

ホテル到着は午後5時ごろであった。

夕御飯の時間である。
3人は話し合った。ドコでドースル?

一応、この日の夕食は計画では

「すずや」で「とんかつ茶づけ」1400円 

を食す予定である。あくまでも予定である。サクサクのとんかつを御飯にのせ熱い茶を注ぎ込む、この店の名物料理らしい。
(注 とんかつ茶づけ…。サクサクのとんかつにお茶をかけるのに意味があるのか? ぼくはどうもその食感を想像しただけで遠慮したかった。幸運なことにその店には行かなかった)

そーはいっても、3人はあまり乗り気ではない御様子。

とりあえず、ホテルを出ることにした。

で、とりあえず新宿タカシマヤへ向かったのである。

続き
#04