こわい話 025
最近、小泉八雲の「怪談」を読んだり、怖い話の朗読会へ行ったりしています。
絵本「地獄」の影響でしょうか、この夏がひどく暑かったせいでしょうか、怖い話を読んだり聞いたりしたくなったのです。
そのうち、小さい子供たちに怖い話を読み聞かせられる、怖い話のおばちゃんになりたいと思っていましたが、朗読会へ行って私にはできないなと思いました。
自分で読みながら、自分が一番怖がると思うから・・・です。
思えば、小さい頃からテレビの怪奇特集を見ることが好きで、夏休みの昼の番組「あなたの知らない世界」は半分目を閉じながらも怖いもの見たさで必ず見ていたものです。
当時はバミューダ・トライアングルとか、かまいたちとか、UFOとか、心霊写真とか、様々な現象で解明されていないものはだいたい恐怖を誘ううたい文句とともにテレビや雑誌に出ていました。
本気半分。疑心半分。
怖い話の漫画本を友達に借りて、部屋で一人で開くのは勇気がいりました。
・・・結局、その友達の家へ行って、他の人がいるところで読むことにしたり。
帯広にやってきたお化け屋敷に父と弟と3人で入ろうとして、入り口の両脇にある怖い顔のお面を見て引き返したり。
・・・こわいんです。 いやなんです、こわいのは。
ワーーッ! ギャーー! ひぇーー! っていうのは嫌いなんです。
なのに、なぜあんなに「あなたの知らない世界」を見ていたのか・・・。
たぶんその話の最後に 「あの霊は私を頼って出てきたのでしょう。きちんとお寺でお経をあげると出てこなくなりました」 というオチがほしかったのです。
ちゃんと解決して、双方納得がいく形になることが良いのです。
ホラー映画の、急にシンと静まり返って画面も暗くなって、しばらくそのまま・・・シーーンとしたところでドーンと怪物が出てくるベタな演出にも、「来るぞ来るぞ」と思っていながらヒィーーッと驚きます。
心臓がバクバクして、呼吸もしているのかどうかわからなくなります。 だからキライです。
キライついでで言うと、遊園地の絶叫マシンもキライです。
一度、東京○ィズニーランドのなんとかマウンテンに乗ったときは、どうせ子供が乗るものでしょ、とバカにしたせいか動き始めたとたん、 ギャー!落ちるー!死ぬー!と叫び、下を向いたまま顔を上げられませんでした。
止まると足がよろよろして、ベンチにへたり込んでいました。
乗る前に「こわいねー。どうしようー」なんて言っていた友人は「楽しかったねー」なんてニコニコしています。
あんなものは危険極まりない!夢の国にこんな乗り物があっていいのか!と一人で憤慨しました。
まあ、それはよしとして、、
怖いものにはお化けや幽霊などがありますが、いろいろな怖い話を見たり聞いたりした結果、私の中での結論は「生きている人間が一番怖い」ということでした。
幽霊が出るきっかけは、この世への未練、うらみ、つらみ。生き霊も含めると、嫉妬、虚栄心、人間の負の感情そのものです。
でもそれは誰しも持っているもので、私にもあります。 それを募らせないように生きること、ああすればよかったと後悔を残さないこと。 どう生きるかが、私が幽霊や生き霊になるかどうかを決めるのではないかと思ったりしています。
怖いと思いながらも、それを好きだと言えるのは、怖いという感情そのものが人間らしいことだからなのかもしれません。
怖いものがない人なんて、人としてつまらないと思いますよ、きっと。
2012年9月 FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ