月イチコラム 「5年後の嬉しいこと」

6月23日、私の友人が喫茶店を開きました。

友人と言っても私には人生の先輩。 定年を過ぎたご夫婦です。

私としらたさんが出会ったのは5年ほど前。 明るく朗らかで周りを楽しい気持ちにさせてくれる太陽のような笑顔の方です。 ご主人は、りんご・なし・杏・ぶどうなどの木を立派に育て、まるで果樹園のような森を持つシャイな方です。 野菜も育てているので、肉・魚以外のものはほぼ自給自足。 鮭と野菜を物々交換することもあったそうです。

しらたさんと知り合って少し経った頃 「私、喫茶店をやりたいと思っているの」と遠慮がちに話してくださいました。 私がFLOWMOTIONでケーキを作ったり、コーヒーを淹れたりしていると聞いて羨ましいと言っていました。 私は迷わず応援しました。

今から10年以上も前のことです。 私は新得のログハウスの喫茶店へ行きました。

そこで店主である奥さんから 「やりたいと思ったことは口に出して言うと実現する」 と聞きました。 それは奥さん自身の体験だったのです。

奥さんは当時、流行り始めていたログハウスを建てたいと思い、友人たちと集まるたびに話していたそうです。 周りの方は「ふぅん・・・」という感じだったそうですが、ある日、「〇〇港でログハウス用の木材が手違いで大量に届いて困っているらしいんだけど、買わない?安いよ」 と友人から連絡がありました。 

で、とりあえず買いました。 とても太く立派な木材をどこへ置こうかと思っていると、親戚の農家のおじさんが、畑にならない土地があるから、一応そこへ置くと良いと言ってくれました。 そこは峠に向かう国道沿いだったため、目立っていたそうです。 積み上げられ放置されている丸太を見ていた建設業の人が「もしこれをログハウスにするのなら私たちにさせてください。これからログハウスの注文に答えられるように練習したいんです」と格安で建ててくれました。 あんまり立派にできたので、OLを辞めて喫茶店を始めたとのことでした。

私はすこぶる感動して、翌日から誰かれ構わず「将来喫茶店をやりたい」と話し始めました。 そしてなんと、5年で実現したのです。

なので、しらたさんにも、とにかく周りの人に「喫茶店をやりたい」と話すことをおすすめしました。

すでにしらた家では果物や野菜を食べきれないほど育てており、材料は揃っています。あとは場所でした。 しらたさんは近所の方が気軽に集まっておしゃべりが出来るサロンにしたいと話していました。 空き店舗を利用しようかと考えていた時期もありましたが、とうとう建ててしまいました! 自宅兼喫茶店を!!

将来足が悪くなっても住めるバリアフリーの平屋です。

果樹園の一角にそれはありました。 

まず、手作りの木の看板があたたかく訪れた人を迎えてくれます。 こげ茶色の木を使用した落ち着いた外観。 緩やかなスロープがあり、その先にテラスが続き、素敵な木のテーブルと椅子が並びます。 玄関にはチャイムもあります。 「おじゃまします」と中に入るとカウンターの中で作業をしているしらたさんが笑顔で迎えてくれます。 

右手の広いスペースに大きな木のテーブルがドーンとあります。自然木の節や隙間もそのまま使用しています。

壁一面もある大きな窓からは、果樹園の木や畑の野菜が見えています。

内装は明るいベージュ色の木を使用して、優しい雰囲気です。

やりましたね!しらたさん!

しらたさんも5年で夢が実現しました。 自分のことのように嬉しい限りです。

6月23日、開店の日は私も手伝いに行きました。 近所の皆さんが「おめでとう!」と言いながら続々やってきます。 しらたさんは慣れない台所で、サイフォンでコーヒーを淹れたりピザを焼いたり大忙しです。 シャイなご主人はちょっともじもじしながらご挨拶。

あたふたしながらも、感謝の気持ちでいっぱいになる。 私も開店の日はこんなだったなあと思いだしました。

日が経って、少し落ち着いたら、きっとご近所の皆さんとしらたさんの笑い声が響く、あたたかくてたのしい空間になるんだろうなあと思います。

しらたさん、おめでとうございます!

2011年7月   FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ

P.S. 「喫茶しらた」 清水町 R38号を清水の街に向かい、街の手前セイコーマートの信号機を右に。三本目の道を左に。しばらく行くと右に木の看板が見えます。


Comment (1)

  1. スゥ wrote:

    言霊って、パワーありますよね!
    「本当に変えようと思うなら 世界は変えられる」という、ジョン・レノンの言葉を思い出しました。

    2011年08月16日(火曜日)