第7話 ゆきゆきて歌舞伎町
『ドンキホーテ』。
タカサカとW.A.Rがいってみたいと思ったとこだった。
とにかくなんでもあるそーだ。
北海道にはこの春か秋にオープンする気配だ。札幌にね。
まったくもって人だ。人人人だ。
そして、歩くスピードも早いよーだ。
よく、オオサカジンは早いというが、トウキョウジンも負けていない。
オビヒロジンがノンキモノなだけだろーか?
とにかく、いけどもイケドモ『マチ』が尽きないっていうのはどーいうことだ?
この感覚を共有してくれるだろうか?
そして、ソコにもアソコにも人がいるのだからホントお祭り騒ぎである。
景気が悪くてコーなのだから、いいときはドーなるのか?
想像も出来ない。バブル期に東京を体験してみたかったものだ。
夜のスタジオ・アルタを越えて靖国通りへ。見えてきましたドンペンくんが。
激安の殿堂『ドンキホーテ』。
そのマスコットであるドンペンくんはダウンタウン松本の発言により、今では全国区の人気者である。たぶん。
その姿はペンギンである。オナカに大きく『ド』と書いてある。しかもナイトキャップを被っているところをみると、やはり夜型の店を最初から意識していたと見える。
入り口の物量に3人はタダタダ驚きである。
無造作に乱雑に。すでに陳列という概念が失われた店内には、いかほどの在庫があるのか?
把握しようとしている店員すらいないように見受けられた。
ところで、たな卸しなどはあるのだろうか?
そして、その作業は誰がやるのだろうか?
タカサカは御免コームリタイ。
その店鋪のデタラメさは帯広の『鳥の伊藤』の比ではない。
脈絡もなく入り口がドコかへ接続されていく。そして通路が狭い。秘境だ。
階段も中途半端に現れては消えていく。何階なのかが分らなくなるのだ。バリア・フリーの考えなどドコ吹く風である。
誘われるままに迷いこむ。
地下に食品関係があるという。
なんか奇妙なものでもあるかと思えば、実はそーでもない。
(注 タカサカは変わったカップラーメンだのスナック菓子だの缶ジュースだのがお好みだ。それゆえか彼が旅行先で買ってきてくれるお土産は駄菓子屋で買ったような貧乏臭いものが多い)
さて、あれは何階だったろうか? 貴金属の類いの階があった。
ぐるりと回ると、タカサカ好きのベルトがあった。
原始的はイラストの彫り込まれた革のベルトである。シーラカンスのような魚の模様が素敵です。
色が何色かあって、案の定迷うのだが、迷ったあげくに黒っぽい紺色のを買った。
1980円だった。
(注 必要なのかどうかいまひとつわからないが、タカサカはよくベルトを買う奴だ。しかも民族衣装のような柄物を。ついでに言うなら、彼のワードローブは「衣装もの」が多い。普段、着まわしするのをためらうような服を面白がって買うため、いらない服が彼のクローゼットを占拠している)
W.A.Rはオモチャにひかれていたよーだったが買うにはいたらなかった。
(注 『ドンキホーテ』は見て回るだけで疲れるところだった。しかも、値段が意外に高いし、欲しいと思わせるようなものもあまりなかった)
新宿コマ劇場が見えてきた。
松平健の時代劇をやっている様子。しかし、この時間、午後8時ぐらいか?には
シャッターは閉じられいわゆるジベタリアンが仕切っていた。
人込みに疲れた3人は悩むことなく一軒の喫茶店に入った。
さて、名前はなんだったろう? 2階だった。窓が大きく、通りを見渡すことができた。
タカサカはコーラを頼んだ。
1人、ウラビレタおじさんが座っていた。会話から常連さんらしい。
しばらくして、友人?が現れた。
2人はゲーム台に座りゲームを始めた。
印象深い光景である。
ちなみに、タカサカはゲーム機がある喫茶店は基本的にイヤである。
(注 かつて、帯広の街中にあった某喫茶店でゲーム機にビニール製のレース風な敷物?がかけてあった。その敷物?のいやに粘つく感触と、客が食うカレーの匂いが立ちこめる、いかにも場末な雰囲気にタカサカは拒絶反応をしめした。それ以来、タカサカはゲーム機のある喫茶店を毛嫌いしている。にもかかわらず「印象深い光景である」などとのたまうタカサカはたんに好き嫌いの激しい男であることがわかるだろう)
W.A.Rにとって明日に控えるCD漁りの日は重要であった。
今日のうちに西新宿の店の確認をしておかなければ!
と、いうことで、向かった。
巨大な鉄道網をくぐりぬけるその名も『大ガード東』から、抜けるとそこは『大ガード西』である。
都民銀行のある三角州ということで意外とたやすく『ディスクヘブン』を発見。
W.A.Rは安心した。
そして3人はホテルへ戻ることになった。
青梅街道を歩いてるときに一見ヤクザ風なボウズが3人、中華屋から出てきた。
タカサカは少なからずヒルんだ。
しかし、その3人はすぐそばの常泉寺へと入っていった。
ほんものの坊主であった。
タカサカはくやしまぎれに、
「ナマグサボーズめ!」
と、小声で言ったつもりだったのだが、団長にたしなめられてしまった。
声が響いてしまったらしい。
申し訳ない。
(注 タカサカは思ったことをわりと口に出して言う男だ。あるときは、映画館でつまんねー映画を小馬鹿にしながらくっちゃべっていたところ、前列にいたカップルにたしなめられた経験がある。カップルの男は素晴らしいデートの時間を台無しにされたことを恨んでか、上映終了後、大声で罵声を浴びせかけていった。残された我々は呆然と彼らが去っていくのを見つめるばかりだった。口は災いのもとという教訓を得たのである、ラッキーだね! それにしても「インデペンデンス・デイ」のどこが面白いんだテメエ!、真面目に見てんじゃねえコノヤロー!!)