古代ニッポン 013
いくつか前のコラムに書きましたが、私は江戸時代ものが好きです。
日本人が急激に変化したのか。私たちが全く違う人種なのか・・・。
たかだか、400年前の人々が同じ土地に住んでいながら、全く違う文化を持っていたことに驚きます。同じ血が流れていることさえも怪しい気がします。
さらに時代をさかのぼると、古代の日本には、そこかしこに神様がいて、台風や雷、洪水などが起こると神々を鎮める儀式を行っていました。
山や海や川や空は、とても偉大で、尊い存在だったのです。
木を切ることや魚を捕ることは生きていくうえで必要なことです。そんな時、神々に祈りをささげて、少しだけ分けてもらうことで怒りを鎮めていました。
そんな慎ましやかに生活していたことを考えると、なんて心優しい、穏やかな日本人なのかしら。日本人は一体どこから来て、その思想はどうやって生まれたのだろう・・・。
どうやら、出雲大社のある、出雲の国は日本発祥の土地だそうだ。 「出雲」という土地名はよく聞くけれど「何県?」というくらい、私の中では存在感の薄い土地です(出雲の方、ごめんなさい)。
『古事記』、『日本書紀』を読んでみるといいのだろうけれど、難しいのはイヤだなあ。と思っていたら、ざっくりとあらすじが分かるという、なんとも私のようなナマケモノにぴったりの本がありました。
さっそく読んでみました。 江戸時代も楽しいけれど、古代の日本も楽しい!
その発想はどこから来るの?というほど、先の読めない展開に驚きです。
ざっくりとしか理解していない私が、ざっくりと説明しますと・・・。
天上に住んでいる神のうち、イザナキ♂・イザナミ♀が雲の上から海に向かって手を伸ばし、ザブザブ、クルクルと海を回すと子供たちが産まれました。それが日本列島です。
出雲の国の近く(日本海)でクルクルしたので、出雲に住むことにしました。
代々、彼らの子孫がそこで楽しく暮らしていると、「いいなあ」と天上の神がうらめしく思って「そこをちょうだい」と言うのです。
はじめは「イヤだ」と言っていたのですが、あまりにもしつこいので、仕方なく「いいよ」と言います。「ラッキー!」と天上の神が降りたのが、出雲ではなく、九州の高千穂でした。
(??なんて面倒な・・・。神ならどこへでも行けそうなのに。)
神々は高千穂から舟で瀬戸内海を東へ向かいます。淡路島を経由し、現在の大阪に降り立つのです。そしてそこで、力の強い豪族たちを倒しながら、奈良あたりに宮殿を造ります。西や東の豪族たちを次々と倒して支配下に置いたとき、大和朝廷が出来上がり、初代天皇はその神々の血を受け継いだ神武天皇というわけです。
(あれ?出雲は?どうして急に影が薄くなるの?)
どうやら、出雲の豪族はあまりにも力が強く、征伐するのに手こずりました。疫病が流行ったのも、天上の神にちょうだいと言われて、渋々いいよと言った出雲の神の呪いだと言われ、日本の歴史を紹介する本『古事記』を作るときに、「日本は出雲から始まった」というお話を作ったようなのでした。しかも、そこに住んでいた人々はみんな神だったということにして・・・。
もともと、出雲の人々は朝鮮との交流があり、文学的知識も物を作る技術も上等だったのでしょう。銅矛とか銅鐸とかいっぱい出てきているし。宗教的思想も受け入れながら、独自の神を祀っていたのです。それが素晴らしいものだったので、そのまま日本の始まりということにしたのですね。 著作権侵害です。
・・・ということで、日本のルーツを考えたとき、大陸(朝鮮や中国)との関わりは切っても切れないなあ、と思うのです。
日本の歴史って、学校で習っていたときは全然楽しくなかったのに、今になってこんなにおもしろく感じるのは年を取ったせいでしょうか・・。 まるでその時代を生きた人になっているような感覚になります。
私たち日本人は、もう一度、山や海や川や空に祈りをささげながら、つつましく生活するべきなのかもしれないと思う今日この頃です。
2009年10月
FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ