日高山脈について 018
11月、日高の山はうっすらと雪化粧。
そんな日に十勝の成り立ち、北海道の出生の秘密、地球の確かな鼓動を感じる講演会がありました。
出勤途中で眼前に広がる日高山脈は私を励まし、落ち込んだときはなぐさめられ。休日には癒される。
私の日々の生活になくてはならない日高山脈です。
十勝の広い平野の西側にすっくと立ち並ぶ凛々しい姿は、いつまで眺めていても飽きません。
北海道の西と東はもともと別の土地でした。東の土地がプレートの動きでどんぶらこと流れ着いた先に、北海道の西側があり、ゴンとぶつかり、うりっと乗り上げ、陸になり、押し合いへし合いしているうちに一つになってしまったのです。
西と東は相撲をしているようにグイグイと押しあって、日高山脈は1000~1500mにも高くそびえていったのです。
およそ4000万年前に北海道の西と東がくっついて、およそ1000万年前に日高山脈が山となってそびえてきた・・・ということが地層を見ると解ってしまうそうです。
不思議ですね。
ところがその地層・・・。なんと、その土地が海や湖の時でないと地層にならないというのです。
陸地だと積もった土が雨で流れ、風で飛ばされ、なくなってしまうのです。
例えば5万年前の地層の上に2万年前の地層があったとすると、5万年前から2万年前までは、そこは陸地だったということになるそうです。 すごいですね!
地層にそんな秘密が隠されていようとは、思いもよりませんでした。
そしておよそ500万年前、この帯広は海でした。
と言っても、北海道の東側から押されて盛り上げり続ける日高山脈と、その間で行き場がなくなった十勝と釧路の境目の丘との間にあるために、浅い湾になっていたそうです。
そしておよそ80万年前には音更あたりに湖が残る程度になり、70万年前には中心に十勝川が流れる十勝平野になっていったそうです。
北海道の大地がくっついて、日高山脈ができて、海になったり、湖になったり、火山灰が降ったり・・・。
いろんな事を乗り越えて十勝平野になるまでになんと3000万年以上もかかっているのです。
川は土を運んで下流に新しい土地を作っていきます。
だから高い土地は古い土地、低い土地は新しい土地なのです。
FLOWMOTIONから帯広美術館へ向かう道すがら、しばらくは平地なのに、美術館の道に入った途端に登り坂になります。
なんと、坂の下は1万6千年前。 坂の上は13万年前だそうです!
美術館へ行こうと思って、フンフンと鼻歌を歌いながら坂を登るうちに、11万年の時を超えてしまっているのです!! どうですか?興味わくでしょ?
「地震や火山の噴火は地球の活動だ」と分かってはいたけれど、自分が今住んでいる土地にこんなにも様々なハプニングと、試練と好機があったなんて、「すごい人生を送ってきたんだね」と慰めてあげなければいけないような気がします。
それなのに、いつも私を励ましてくれてありがとう。
いつも力をありがとう・・・。
そして今日も、日高山脈はプレートに押されて太陽に向かって高く昇り続けています。
地震が起きて、山肌が崩れ、むき出しの岩に希少な草花が根をおろし、深い深い森になっていくのです。
たくさんの驚きとともに、地球や北海道の人生に比べて、人間って小さいなあ・・・ということを思い知った講演会でした。
2010年11月
FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ