「福寿草」010
この十勝にもやっと春がやってきました。
暖冬だと思っていたのに、年明けから冷え込むことが多かったですね。
雪もたくさん降りましたし。
3月の末、自宅の庭に福寿草が咲き始めました。
まだ残っている雪の隙間から (うちの場合はコンクリートブロックの隙間から)
ひょっこりと黄色い顔をのぞかせている風情は、とてもかわいらしく、また、あたたかい気持ちになります。
日差しの無い日は花を固く閉じて、寒さにじっと耐えている姿もいじらしく思います。
植物の花は実をつけるために咲いています。花に蜜を忍ばせて、虫や鳥に受粉してもらうのです。でもこの時期、虫はいません。やっとクモや小さな羽虫がちらほらと飛んでいるだけです。福寿草はどうしてこの時期に咲くのでしょう。まさか、私たちに春を告げるために咲くわけではないはずです。
・・・不思議です。
花が終わる頃、いつの間にかギザギザの葉が出てきて、わさわさと生え、花があったところにはイボイボの実がなります。こうなると全然かわいくありません。私はここ最近まで、福寿草は花が咲いて終わったら、そのまま根だけで生きているものだと思っていました。夏の姿からは、春先のかわいらしい姿を全く想像できないのです。
そういえば、水芭蕉も咲いているときはすぐに見つけられますが、夏はやたらと大きな葉が出て、森にまぎれてしまい、あのしおらしい感じは全くありません。
春はひかえめで、かわいらしく、しおらしい、「やまとなでしこ」のような季節なのでしょうね・・・。
アイヌ語では 「チライ・アパッポ」 「クナウ・ノンノ」 と言うそうです。
「チライ・アパッポ」は「イトウ(魚)が来る時期に咲く花」と言う意味だそうです。
イトウは早春に川にやってくるのですね。福寿草の不思議からイトウの釣れる時期が分かってしまいました。来年には釣り吉になっているかもしれません・・・。
「クナウ・ノンノ」は「女神クナウの花」と言う意味だそうです。
クナウはモグラの神との縁談を嫌がり、婚礼の日に逃げて、草むらに隠れていたところを見つかり、花(福寿草)に変えられてしまったかわいそうな女神だそうです。
他の花が咲かないこの時期に、ひっそりと花をつけるもの悲しさがそのような伝説を生んだのでしょうか・・・。
「ノンノ」は雑誌の名前ではなく「花」と言う意味です。
苫小牧の銘菓に「ゆのみのんの」というお菓子があります。「ゆのみ」はハスカップ(アイヌ語)の別名で「のんの(アイヌ語)」と合わせた造語なんですね。「よいとまけ」が有名ですが、こちらもおいしいお菓子ですよ。ご賞味あれ。
福寿草について書き始めたのに、いつの間にかアイヌ語講座になってしまいました。
福寿草が、なぜ虫のいない時期に咲き、どうやって実をつけているのか・・・。
図書館で調べればよいのでしょうが、もしどなたか、福寿草のヒミツを知っていたら教えてください。もれなく、うちの福寿草を株分けしてプレゼントいたしますよ。
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2009年4月
FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ
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追伸 : 月イチコラムのバックナンバーをファイルにまとめました。
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